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PMOの達人が教える、新しい「プロジェクトマネジメント」実践塾
【連載】 PMOの達人が教える、新しい「プロジェクトマネジメント」実践塾
-第6回-
プロジェクトの本懐は「価値の創出」にある
近年、企業活動の多くの場面で聞くようになった「プロジェクトマネジメント」という言葉。その背景には、組織が抱えるあらゆる課題を解消していくため、体系立ったマネジメント手法を導入するのが非常に有効だと徐々に認識されてきたことにある。そこで、各種のプロジェクトマネジメント・ソリューションを専門的に提供し、各業界の企業から注目を集めるマネジメントソリューションズの社員に、プロジェクトマネジメントの要諦を学ぼう。 取材・文/編集部 撮影/外川 孝
世のニーズをとらえて新たな価値創造をするのが最終目的
こんにちは、マネジメントソリューションズの木南と申します。わたしがPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を生業とするようになったきっかけは、SIerやコンサルティング会社での経験を通じて、「プロジェクトの本質」を考えながら社会に貢献していく仕事がしたいと思うようになったからです。では、プロジェクトの本質とは何なのか。わたしなりの考えですが、まずはそこから説明しましょう。
世の中には、システム構築やサービス企画、新商品開発、業務プロセス改善など、ありとあらゆる種類のプロジェクトが存在します。そのスタートの形も、ある時は経営陣のトップダウンで、またある時は現場のボトムアップでと、さまざまあるでしょう。しかし、そもそもなぜ、プロジェクトを立ち上げる必要があるのかを突き詰めて考えると、わたしの答えはこうなります。
プロジェクトとは、それがどんな種類のものであっても、世の中やクライアントのニーズに合わせて新しい価値を創出するためにある。言い換えれば、あらゆるプロジェクトの最終目的は、サービスや商品、あるいはそれを生み出す仕組みを、社会や顧客のニーズに合わせて変えていくことにあるのです。となれば、プロジェクトマネジメントを担う立場にある人は、所属部門、職位やポジション、会社といった垣根を越えて、変革をドライブしていくのが本来の役割になります。
にもかかわらず、世の中の多くのプロジェクトは、往々にしてやること自体が目的化してしまい、メンバーはもちろん、リーダーですら「何を変革していくのか」があいまいなまま進行しているケースがよく見受けられます。プロジェクトが何をどのように変革していくのか、というビジョンや目標、それを実現するための実行計画を、関係者としっかりと共有していく必要があり、リーダーがメッセージを発信し続ける必要があります。PMOはそういった活動においても補佐役となり、プロジェクトチームだけでなく、時には組織に対してもメッセージを発していくように働きかけていきます。
PMOは成功に向けてプロジェクトをドライブする
読者の皆さんも、これまでに何らかの役割でさまざまなプロジェクトに参加されていると思いますが、プロジェクトがうまく回っていない経験をされてきた方は多いと思います。
■ なぜ今、ビジネスのやり方を変えなければならないのか、どこをどう変えるべきか
■ 理想のビジネスの実現に向けてどのように進めていけばよいか
などといった議論が十分に行われず、議論されていてもプロジェクトメンバーや変革に関係する組織のリーダーに十分浸透せずに始まってしまうプロジェクトは、想像以上に多いものです。これでは、メンバーは参加する意味を見いだせないでしょうし、貢献が評価につながらなければモチベーションも上がりません。そこで、PMとともに組織の協力を取り付けるため、どのように説得して活動に必要なリソースを確保していくか、活動に参加していただく方々にはどのようなタスクを行ってもらい、アウトプットにどうかかわっていただくかという役割や実行計画のアウトラインを決めていくことも、PMOの大事な仕事なのです。
ちなみに、コンサルタントとはどのような違いがあるのか疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。PMOが彼らと根本的に異なるのは、PMOはPMとともにプロジェクトの進め方を検討し、プロジェクトメンバー全員が同じ方向を向いて動ける環境づくりまで手伝うことで、プロジェクトをドライブするという点です。
例えばプロジェクトのアウトプットとして理想の業務を実現するための業務フローを検討・作成するという作業があった場合、そのアウトプットに必要なテンプレートや解説書を作成、もしくは有識者に作成いただき、それを横展開して関係者が問題なく作業できるように環境を整えます。その上で、アウトプット作成の期限と担当を決めてスケジュールを明確にし、そのアウトプットが一定の品質を満たせるように品質評価の基準を定め、その基準に沿って有識者によるレビューの調整を行い、結果が期日までに反映されるかどうか反映状況をチェックしていきます。
そうすることで、作業を行う人は自分が何をいつまでにやればいいか、どのような点を考慮して資料を作成すればいいかが明確になり、作業に集中できるとともに一定の品質も確保できるようになるのです。コンサルタントは、理想の業務をどうするべきかをアドバイスして業務フローなどのアウトプットをつくる人、もしくはそれを助けてくれる人ですが、PMOはそのような活動がうまくいくような環境をつくっていくということになります。
これと同様に、プロジェクトの予算、納期に合わせ、実現範囲をアジャストしないといけない状況になった場合には、この機能はプロジェクトの目的に照らして本当に必要なことなのか、本当はいつまでに実現しなければいけないのか、リーダーを集めてPMとともに再検証する場を設けたり、ファシリテートしたりするなど、プロジェクトの成功に向けてもろもろの交通整理、情報整理もサポートしていきます。
また、プロジェクトにはさまざまなコンフリクトが発生しますが、会社間、組織間、チーム間など、意思疎通がうまくいっていない場合は、それを解消するための会議体を進言したり、プロジェクトのある課題について誰が主体的に取り組むのかがあいまいになっている場合は、いったんPMOが預かって誰が“ボールをもつ”のかを決め直します。時には、有識者を選抜して検討チームを臨時で立ち上げ、検討テーマと解決に向けた進め方を整理し、それに沿って検討いただくように旗振り役となって関係者を巻き込みながら推進していきます。こうやって、実際に活動する人たちがしっかり動けるような環境を整えていくのが、プロジェクトをドライブしていく上で重要なポイントになるのです。
足りない知恵をチームで補い合いながら仕事に当たる
このように、プロジェクトで生じるさまざまなすき間を埋め、実行性を伴ったアプローチで解消していくには、われわれ自身がプロジェクト進行に必要な事項を知っていなければなりません。PMOにはプロジェクトを成功させるためにどのように進めればよいかを知っていることが求められます。
とはいえ、わたしを含め当社の社員全員が、最初からプロジェクトマネジメントのプロだったわけではありません。社員の前職もそれぞれですから、人によって得意分野と苦手分野があるのは当然の話です。そこでマネジメントソリューションズでは、社員全員で「PMOに必要なこと」を理解し、共有するために、独自のナレッジ集を作成しています。『PM3(ピーエム・キューブ)』と呼ばれるナレッジ集で、A4用紙で100枚超に及ぶ冊子に、プロジェクト開始前にやることから進行過程で問われるチェック項目、どんなリスクにどう対応していくべきかなど、PMOはどのように活動していくべきか、広い視点でノウハウをまとめています。
最近ファーストバージョンが完成したばかりですので、今後もブラッシュアップしていかなければならない状態ではありますが、新しくPMOのプロを目指す人にはとても参考になる資料であるはずです。また、このナレッジ集はわれわれ社員の経験・知見をもとに皆で議論し合って作成しているものなので、新しいソリューションをつくり上げているという醍醐味もあります。PMOは単独で行うものではなく、チームで行うものなので、社員同士助け合いながら、プロジェクトマネジメントの知識を補い合うことは重要だと思います。










