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PMOの達人が教える、新しい「プロジェクトマネジメント」実践塾

【連載】 PMOの達人が教える、新しい「プロジェクトマネジメント」実践塾

-第8回-

プロジェクト現場の
「機能不全」を防ぐ

近年、企業活動の多くの場面で聞くようになった「プロジェクトマネジメント」という言葉。その背景には、組織が抱えるあらゆる課題を解消していくため、体系立ったマネジメント手法を導入するのが非常に有効だと徐々に認識されてきたことにある。そこで、各種のプロジェクトマネジメント・ソリューションを専門的に提供し、各業界の企業から注目を集めるマネジメントソリューションズの社員に、プロジェクトマネジメントの要諦を学ぼう。  取材・文/編集部 撮影/外川 孝


「現場は分からないから自分で考えて」がマネジメント?



こんにちは、マネジメントソリューションズの中原です。わたしは2007年からPMO業務に携わっており、前職はインフラ基盤エンジニアをやっていました。なぜPMOの仕事に興味を持ったかというと、前の勤め先だった大手ネットワーク関連会社で、衝撃的なプロジェクトを経験したからです。

それは、既存のネットワークインフラを駆使した新しい通信サービスの立ち上げプロジェクトで、わたしはインフラ構築部隊の一モジュールを担当するサブリーダーとしてかかわっていました。非常に大規模で、技術的にも難しい案件でしたが、有名なコンサルティング会社が入っていたのもあって、「まぁ大丈夫だろう」と思っていたんです。

ところが、開発は遅々として進まないまま、われわれは数ヵ月後に突然撤退。プロジェクトそのものも消滅してしまったのです。理由はいろいろありましたが、わたしが現場リーダーをやっていて強く感じていたのは、「なぜ上の意思決定が現場に伝わってこないのか?」ということ。プロジェクト開始前のキックオフで、概要についての膨大な資料を渡されたものの、その後は各フェーズで現場が到達すべきゴールが不明瞭なまま。どんな手順で、どう動けばいいかをすり合わせるため、プロジェクトマネジャー(以下、PM)に指示を仰いでも、「現場のことはよく分からないから自分で考えてくれ」の一点張りでした。

その時に沸いてきた「正しいマネジメントって何?」という疑問が、今の仕事に就くきっかけになっています。PMやコンサルタントがどんなにきれいな戦略や計画を描いても、現場にうまく落ちなければ文字通り机上の空論になってしまう。そんな当たり前のことを痛感した体験が、今、わたしがPMO業務を行う際の教訓となっています。

[2:5:3]の法則が、プロジェクトを最も円滑にする



そして、実はもう一つ、教訓になっている失敗例があります。それは、わたしが当社に転職し、初めてPMOとして入ったプロジェクトでの出来事です。そのプロジェクトはいわゆる火噴き案件で、一部オフショアで開発をしていたこともあって、システムテストから先がうまくマネジメントできていない状態でした。わたしにはPMOとして、進ちょく管理のルールを再設定しながら、遅れを取り戻す動きが求められていました。

今思えば、この時本当に大切だったのは、プロジェクト内の決め事や管理ルールを整えること以上に、「どうすれば現場がうまく機能するか」を考えて“足を使う”ことでした。しかし、当時のわたしは、先輩から聞きかじったPMOの方法論に傾倒するあまり、ルールを決めること、追加することに注力し過ぎてしまったのです。

結果、現場からは不満の声が挙がり、あるシチュエーションではさらに混乱を招いてしまったのです。そこですぐに軌道修正し、各チームのところにヒアリングに行ってみると、例えば「いろんな不具合管理表があるから、どれを使えばいいか分からない」といったような現場の不満に気付くわけです。こういった問題は、既存のツールを取捨選択してあげさえすれば簡単に解消できます。

それに、システム開発の現場には、メンバーの能力や開発風土に応じて、「ルールがなくてもできること」が多々あります。それを逐一チェックするようにルール化してしまうと、かえって作業が増えるだけで進ちょくを遅らせてしまう可能性がでてきます。

つまり、プロジェクトマネジメントには

【1】プロジェクトの運営方針を定める、マネジメントの「軸」を決める
【2】現場に入りながら、決めた「軸」がうまく機能するようにフォローする
【3】現場から得た情報をPMと共有しながら、マネジメントの「軸」を再調整する


の3つが必要で、特に【2】がないと現場は機能しないのです。本来ならば、PMが【1】〜【3】すべての実行者となるべきですが、それがいろんな事情でできないからこそ、PMOが間に立ってマネジメントを行う意味がある。当社の面接で言われた「PMOとは、PMとメンバーの橋渡し役だ」という言葉が、この時初めて腹に落ちました。

こうした経験もあって、最近は、わたしの全業務時間を10とすると、[PMと接する時間:2]、[現場リーダーと接する時間:5]、[メンバーと接する時間:3]の割合で動くようにしています。この[2:5:3]の法則が、最も現場を機能させるマネジメントじゃないかと思っています。

元エンジニアだからこそできるPMO業務もある



現在、開発の真っ只中にいるSEや現場リーダーの中には、「PMOは何か難しいマネジメント手法を用いる仕事」といったイメージを持つ方もいるでしょう。実際、わたしも最初はそうでした。ただ、先に述べたように、PMO業務の約半分は現場フォローですから、わたしのような本格的なマネジメント経験が一度もないエンジニアでも、比較的すぐに適応できると思います。マネジメントのプロとして仕事をしてみたい、という気持ちさえあれば、方法論は後から学べますからね。

それに、携わる案件がシステム開発であれば、相手側の現場リーダーはたいていの場合「それまでずっとSEやプログラマーをしていた方」になります。彼らは、以前のわたしと同じで、「正しいマネジメントとは何か?」と悩んでいるケースが多いものです。ですから、わたしが彼らから進ちょく状況や不満をヒアリングする機会が、わたしから彼らにメンバーマネジメントのコツなどをアドバイスする機会にもなり、お互いのメリットとなります。

個々の現場リーダーが、PMの思いや計画をメンバーに伝えながら、うまくチームをマネジメントできるようになれば、プロジェクトの成功はなかば保証されたようなものですからね。そのためのコミュニケーションを、こちらから積極的に行うのが、非常に大事だと感じています。

現場リーダーが持ちがちな、「自分が頑張れば何とかなる」という意識を変えてあげるのも、PMOの大事な役割。だからこそ、前は自分自身がその立場だったという経験則が役に立つのです。


「自分が頑張れば何とかなる」という意識を変えてあげるのも、PMOの大事な役割――中原崇陽氏



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