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【連載最終回−特別対談】SEからPMOへの転身は、アリかナシか?

【連載最終回−特別対談】SEからPMOへの転身は、アリかナシか?

各種プロジェクトマネジメントソリューションを提供するマネジメントソリューションズの社員に「PMOとは何か」を聞いてきたこの連載も、今回で最終回。そこで、最後はPMO業務で活躍する若手2人に、「SEからPMOへの転身」について語ってもらった。 取材・文/森川直樹 撮影/外川 孝

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「技術者を知っている」ことがPMOをやる上での強みに


−中原さんも野村さんも、SEからマネジメントソリューションズへ転職をしたと聞いています。まずは簡単に経歴を教えてください。

中原 わたしは大学を卒業後にSI企業に入社し、主にサーバーの保守運用に携わってきました。2007年の12月にマネジメントソリューションズへ転職してからは、さまざまなお客さまのプロジェクトにかかわってきましたが、現在はエネルギー系の大企業でシステム更改案件のPMOをしています。

野村 わたしの場合は、当初からプロジェクトマネジメントにかかわることを望んでいました。最初に入社したのはベンチャー系IT企業で、ここでも独学でPMを担当していたんです。その結果、もう少し技術力を高めるべきだと判断し、ソフトウエアベンダーに転職。その上で2007年にマネジメントソリューションズに来ました。現在は大手金融機関のプロジェクトにPMOとして参画しています。

−野村さんの言う「技術を知る必要性」は、まさに今回のテーマに直結しそうですね。

野村 SEとして技術と向き合った経験は、大きなアドバンテージになると思います。ただし、例えば何十年もSEとして活躍した人が、明日からPMやPMOを務められるかというと、そうとも限らない。

中原 技術を知っているからといって、PMOが開発現場にも直接手を出していたら、プロジェクトの進行は停滞しますよね。現場のエンジニアのモチベーションが下がってしまう恐れもある。わたし自身、自分がSEだったころ、わたしの担当分野にあれこれ手を出してくるPMが一番イヤでした(笑)。ですから、元SEの最大のアドバンテージは「技術を知っている」ことではなく、「技術者の気持ちを知っている」ことなんじゃないかと思います。


野村 同感。現場メンバーがまず思うのは「この人、技術のこと分かってる?」ということ。それで「分かってる人」だと判明したら、次に思うのが「オレたちの気持ち分かってくれる?」だよね。技術知識というよりも、この「気持ちを理解する」感覚が、SEかPMOになった人間の価値にもつながる。

中原 多少、技術的に気になる点があっても、現状うまくいっているチームはあえて手を出さずにスルーしないと、ほかのうまくいってないチームの問題点と向き合う時間がなくなってしまう。それに、うまくいっているチームの場合、マネジメントが多少雑だとしても、そのまま任せておいた方が結果として順調に進んだりするし(笑)。

達成感と、そこに至るまでの過程がSEとは大きく異なる


野村 お客さま側のリーダーの気質というか、タイプによっても接し方を使い分ける必要も出てくるね。

中原 よく問題となるのが、チームリーダー間での仕事の線引き。「その業務はウチ」、「これはウチのマターじゃない」みたいな議論があって困っていたりする。そういう局面でこそ、PMOが手を差し伸べなければいけない。

野村 「技術者の気持ちが分かる」からといって、何でも「その悩みは分かりますよ」じゃまとまらない(笑)。仲良しになるのではなく、時には嫌われ者役を買って出るくらいの姿勢が必要になる。

−SE時代の経験は十分に活用できるけれども、「現場メンバーへの理解」の示し方を取り違えてしまうと、かえって首をしめるというわけですね?

中原 技術が分かって、技術者の気持ちが分かっているからこそ、バランスが問われるのだと思います。開発に技術的問題点があったら、それ自体と正面から向き合わないではいられない職人気質が必要以上に強い人は、PMOには向いていないかもしれない。

野村 どんなプロジェクトも同時進行で複数のチームがそれぞれに課題を抱えながら動いているわけですから、開発のアラを気にし始めたらキリがない。むしろ、常に一歩引いたところから見ていることができるかどうか。SE経験があるからこそ一つ一つのモノづくりの状況が気になるはずですが、それでもあえてプロジェクト全体の成功を考える姿勢がPMOには強く求められます。

中原 SEの時は、目の前にある問題点が解決するタイミングが最大の喜びでした。それがモチベーションになって、次のフェーズに向かっていく力が湧いてきた。けれども、PMOになってからの「シゴトの喜び」は、すべてのプロジェクトが終結し、成功した時に来ます。スパンが非常に長くなる。

野村 本当にすべてが終わって、お客さまに「ありがとう」と言われる瞬間が喜びの時だよね。そこに到達するまでは、とにかく長い時間がかかる。ただし、長い緊張の時から解放された時は、独特の高揚感がある。これを楽しめる人がPMOに向いていると言えます。

コミュニケーション力やPMの方法論は後付けで身に付けられる


−SEは、マネジメントの仕事をする上で自分のコミュニケーションスキルを気にすることが多いように感じます。やはり、この辺がSEからPMOを目指す人の課題となるのでしょうか?

中原 本格的にPMOに専念するようになれば、確実にコミュニケーション能力は求められます。それは間違いないです。例えば数十人のプロジェクトメンバーを相手に話をしたり、お客さまの経営陣などと議論をする場面などが、日常のことになりますから。わたし自身も、こういったシーンでは今も緊張しっぱなしです(笑)。

野村 でも、単に「人が好き」「しゃべるのが好き」という人が向いているかというと……。

中原 それは違うね。

野村 そうだよね。しゃべるのが得意じゃなくても、経験をしていけばコミュニケーションのやり方は上手になっていくものだし。

中原 SEとPMOのもう一つの大きな違いだと思うけれど、マネジメントの仕事は当人の個性がすごく出る。それでOKなのが、SEとの違い。SEの場合は、「こういう問題が起きたら、こう対処する」というように解が決まっているじゃないですか。それさえ覚えれば価値を発揮できるけれども、PMOの場合はすべてがケース・バイ・ケース。

野村 もちろん、プロジェクトマネジメントにも基本や原則はあるし、それを踏まえることは非常に重要。けれども、同時に「その人のやり方、流儀」があっても良い。というよりも、自然とそうなっていく。

中原 最近は、「PMBOKを勉強しました」とか「PMP資格を持っています」という人も増えた。それ自体は良いことだけれど、そういった知識体系が頭に入っているだけでは、マネジメントの実際の仕事はうまくいかない。

野村 型にはまらない仕事だから難しい反面、「こういう人じゃないとダメ」ということもない。「しゃべれる」からうまくいくわけではないし、「PMPを持っていない」からうまくいかないという仕事ではないということだよね。

−では、SEからPMOになるために、最も重要な事柄とは何なのでしょう?

野村 ありていではありますが、結局は意志や意識なんだと思います。開発そのものよりもプロジェクト全体の成功を願っていて、そのために貢献したいと考えている人。「自分はチームのためにどうあるべきか」を考えられる人ならば、コミュニケーションが得意ではなくても、マネジメントの方法論に精通していないくても、経験さえ積めばPMOとしての役割を十分に果たせると思います。

中原 前に、あるプロジェクトで「自分にはマネジメントは向いていない」と口にしていたチームリーダーがいたんです。たしかに積極的に人と話をしたがるタイプではなかった。けれども、彼の行動パターンをしばらく見ていたら安心をしました。毎日、当たり前のような顔をして別チームの進捗状況を気にかけ、面倒を見ていたりするんですよ。結果としてプロジェクト全体に貢献している。こういう人ならば、その気にさえなればPMOになれる。そう思います。

野村 「話せるかどうか」ではなく、大切なのは「人に動いてもらえるかどうか」。その働きかけ方は、その人その人の流儀でかまわない。本気で「チームを動かしたい」と思える人こそが、PMOとして成功できるんだと思っています。



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