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転換期のコンサル業界をサバイブできる人の条件
転換期のコンサル業界をサバイブできる人の条件
景況感が徐々に復活し始め、各種コンサルティング企業は
一部の部門で積極採用を再開している。
が、市況全体として「完全復活」には至っておらず、
むしろ状況がシビアになっている分野もある。
その背景には何があるのか。
そして、どんなスキルセットを持つコンサルが、
この転換期を生き残ることができるのか。
自らも元コンサルタントだった人材エージェントが
転職市場とコンサルキャリアの「今後」を語る。
「ギャップを埋めるコンサル」になることが生き残りの道
「現在のコンサルティング業界は、限られた顧客のパイを多数の企業で取り合いをしている状態。『新しい飯のタネ』をいち早く手に入れることのできた企業は何とか息を吹き返していますが、対応が遅れた企業の中には存続すら危ういところもあります。今年に入ってコンサルティング関連職種の求人が増え始めているのは事実ですが、業界全体を見渡せば、まだまだ厳しい状況から脱することができていないのです」
こう話すのは、人材紹介会社アクシスコンサルティングの荒木田誠氏。自身、元大手総合ファームのコンサルタントで、今年6月に共著で『図解雑学 コンサルティング業界のしくみ』(ナツメ社刊)を上梓した荒木田氏は、2000年代から進んだコンサルティング企業の細分化が、生存競争をいっそうシビアなものにしたと分析している。
事実、従来型のERP導入コンサルティングや、各種戦略立案のみをコア事業としてきたファームの中には、引き続き人員整理を行っている企業も見受けられる。近いうちに日本市場からの撤退を検討する外資系ファームもあるほどだ。では、荒木田氏の言う「新しい飯のタネ」とは何で、どんな企業がこの転換期をサバイブしているのか。
「『新しい飯のタネ』の代表例は、やはりIFRS関連プロジェクトでしょう。日本にはまだIFRSの本格的な導入事例がありませんから、海外でのプロジェクト経験がある人材や、会計回りのシェアード・サービスに関する知識を持つ人材を早く集めることのできたファームは優位に立っています。このIFRSをはじめ、今、再び成長軌道に乗っている企業群は、総じて『ギャップを埋める』コンサルティングを展開しています」
ギャップを埋める――つまり、顧客企業がやりたいけどできないこと、対応すべきだけれどナレッジがない分野をサポートし得る専門性と実行力を持つコンサルティング企業が、この転換期をサバイブしているという。IFRS以外にも、海外進出時に文化面や語学、商習慣のギャップを埋めるロールイン&ロールアウト分野に脚光が集まっていることなどからも、今後はいかにギャップを埋めることができるか? が生き残りの道なのだといえるだろう。
会計知識と語学力は「キャラ立ち」への必須条件
コンサルタントに「ギャップを埋める」サポートが求められるのは、本質的には今も昔も変わっていない。変化したのは、顧客がサポートを求める分野や、求めるサポートの質だ。では、コンサルタント個人がこの変化に適応し、今後もギャップを埋めることのできる素地を身に付けるには、何に取り組んでいけばいいのか。荒木田氏はまず、「会計知識と語学力」の2つがカギを握るとアドバイスする。
「会計に関していえば、過去にも1990年代後半の会計ビッグバン、2000年代半ばのJ-SOX対応、そして現在のIFRS対応と、3〜5年周期で常に新しいムーブメントが起こっています。コンサルタントとして最新の会計知識を持ち続けることは、すなわち市場価値を保ち続けることになるのです。また、語学に関しては、中国でのビジネス展開を志向するクライアントが増えていることから、英語だけでなく中国語のできるコンサルタントへのニーズが高まっていますね」
加えて、顧客ニーズがどんどん細分化・明確化している昨今の時流から考えると、「ERP導入」や「経営戦略」などといった漠とした専門性ではなく、より特化した専門軸を持つ必要性があるだろう。
「当社に転職やキャリアプランのご相談に来られる若手コンサルタントの中には、『コンサルとしての“エッジ”がなくて……』と悩んでいる方が数多くいらっしゃいます。やはり、30歳くらいをメドに何かしらの専門性を身に付けるアクションを起こさないと、中長期的にこの仕事を続けていくのが難しいからです」
近年はコンサル業界も多種多様なサービスを展開しており、ある領域に特化したブティック型ファームも増えている。荒木田氏は、こうした企業群をカテゴリー分けして見ることで、「今、どんな分野が伸びているのか、そして自分の持つ経験と親和性の高い分野はどこなのかが分かってくる」と示唆する。『図解雑学 コンサルティング業界のしくみ』には、コンサルティング業界の領域と特徴について詳細に記述されている章があるので、参考にしてみるのもいいだろう。
そして、こうしたカテゴリー分けを踏まえながら、転職を活用して専門性を広げていったり、異なる領域の知識を組み合わせながら、「キャラ立ち」できる軸を構築していくことを荒木田氏は薦める。
「もちろん無鉄砲な転職はオススメしませんが、プロジェクトへのアサインには運・不運があることも事実です。現在の勤め先で専門分野を広げたり、新しい得意分野を創っていくのが難しいならば、同業内で視野を広げて職場選びをしてみるのも一つの手でしょう」
より重要度を増す“横のリーダーシップ”とは?
ちなみに、市況や顧客ニーズの変化によって生じたムーブメントがもう一つある。それは、コンサルタントに以前よりも「人間力」や「対応力」が求められるようになったことだ。ある種の原点回帰ともいえるが、最近はコンサルタント採用においても「2000年台半ばまでスキルマッチ重視だったのが、『人物面で採用NG』となってしまうケースが増えている」という。
こうした状況をブレークスルーするために、荒木田氏は「一人で何でもやろうとしない、という意識変革が必要かもしれない」と話す。
「どれだけ優秀なコンサルタントも、一人でフォローできる専門領域はせいぜい一つか二つです。それに、時流として、クライアントも転職市場も深い専門性を持つエッジの立ったコンサルタントを求めている。そんな状況の中で複雑に絡み合った課題を解消していくには、他人の力を借りながら価値を出していくしかないからです」
これからのコンサルタントには、自身でも特定の専門軸を持ちながら、異なる分野に秀でた人たちを集め、彼らを有機的に結び付けながら課題解決に当たっていくという発想が必要になる。そこでは、組織上、チーム内での上下関係にはない人たちも巻き込んでいく“横のリーダーシップ”が欠かせない。
「具体的には、人に何かを教えること以外に、人に教えを請うための謙虚な姿勢なども大事になってくる。プロジェクトや会社の枠を超えて人脈を築いていく努力と工夫は、今後、コンサルタントに必要不可欠なものになっていくでしょう」










